夢日記2020/07/01

対話ばかりした。自分は様々な年齢の人間だった。

自分が借りている身体の中からものを見ることもあれば、自分の語っていることが小説のように活字となって視界に示されることもあり、自分の様子を別の人間の視点から見ることもあった。

自分は若い女だった。ほとんど声が聞こえるだけで、自分の様子は全く分からなかった。
社員だと偽ってある会社で働こうとしていた。上司らしい男にぺらぺらと話をして、取り入ろうとしていた。そこへ上司が、「残念、君の名前の社員は存在しないんだ」その場面だけはっきりと、しかし他人の視点から見えた。事務員の制服を着た自分(ということになっている他の人間)は悔しげな顔をしていた。

次には高校生の女の子になっていた。膝丈のスカートが頼りなかった。この夢はよく記憶している。
旧校舎らしい建物の入り口近くに立っている。目の前に木造の階段が突き出していて、その奥の壁に時間割り表が貼られている。今日の授業を確認する。ドイツ人の名前が書いてある。ドイツ人作家についての授業が始まるのを待っているのだ。しかし豪雨のため他の生徒も、先生もいない。おそらく階段は昇らなかった。他の校舎へ移動した。
新しい校舎は明るかった。出くわした友人と何か医学に関する雑談をする。ある女友達と並んで歩いていく。「理系なの?」と彼女が問う。「いや、文系だけど、話を聞くのが面白いから」「文理関係なく色々話し合えるって素敵だと思うわ」
話していると、向こうから先生に連れられて誰か男の子が歩いてくる。その目つきで、かつての友人だと分かった。私の隣にいる少女は、彼を私の恋人だと思い込んでいるらしかった。事実無根である。私たちとその少年はすれ違った。通り過ぎてから振り向くと、彼も振り向いてこちらを見ていた。「私も時々、恋人を無視して、どっかへ行きたくなるの」彼女がそう言うのを聞きながら、私たちは廊下を渡って隣の校舎へ行った。
思い出してみればこの同級生らしいこの女の子は言葉遣いが少々硬い。文理の区別をつけたがるあたりは短絡的だ。自分の中の、幼いもう1人なのかもしれない。

最後は年老いた男だった。
妻らしい老女の隣で、警官らしい青年に自分たちが何をしているか語っている。長々と話をした記憶があるが、身体が老人だったためか目覚めてからの記憶もすぐ忘れてしまった。自分の言葉が細かい活字になって、自分が語る光景の上に重ねて映し出されていた。
「……私は公園の木陰で音楽を聴きながら休む。……死ぬのはしかじかの日、しかじかの場所で、そこには針のような柘植の沼があるから、私はそこで足を刺されて死ぬだろう」