夢日記2023/09/02

その屋敷には幽霊がいると言われた。母は賑やかな部屋の一隅を占めて、ここにいるから見てくるなら見ておいでと言った。不自然に笑顔だった。

札が貼ってあって登れない階段の最上段に、鬼の形相であぐらをかいた人形がいた。手を合わせると、ゆっくり手を合わせ返してくれた。

嬉しくなって、廊下にいた猫を撫でようとしたら、なおーんと鳴きながらにゅるにゅる縦に伸びて、左肩から首に巻きついた。右からは鼠が同じように伸びてきて、絡みついてきていた。鼠のほうが小さいから、伸びたあとの身体が細くて、すぐに振り切った。猫には手間取った。

 

やっぱりここはよくない屋敷なんだと恐怖しながら廊下をかけていくと、次第に床の様子が変わってきた。土間が増えて、土間でないところはぬかるみになった。ジェイソン・ステイサムの映画を思い出した(そんな作品は実際にはない)。彼がやって来てしまったら、殺される。

2階に駆け上がり、ある1室の窓際で少しだけ休もうと腰を落ち着けると、がらりと窓が開いた。彼だった。とっさに人形のふりをした。まさしく自分が陶器の人形であるような気がして、美しい微笑みを浮かべてみた。気づかれていたかもしれないが、その時は無事に窓が閉まった。

 

この屋敷から逃げ出すため、また駆け下りて外へ出た。ずいぶん人がいた。そこにいた友人に、思春期の愛について語った。誰かが誰かに告白していた。

大勢と一緒に歩いていくと、荷物が重くなってきた。卒業するのだと友人が言った。楽しむために階段を2段飛ばしに飛び降りて、最後にレンガづくりの石碑の上から飛び降りると、着地に失敗して青い空が見えた。背中は痛かったが足が折れているようなことはなく、痛みは偽のものに思えた。

卒業式の会場の入り口で、ずっと手に持っていた白い袋の中身を初めて見た。白い足袋、青いヘルメット、青いバケツ、その他ややかさばるものが6つくらい入っていた。重かったのは足袋だと分かった。

 

卒業式の会場に入ると、人が整列しており、今からパリの何かの屋敷に入場するところだった。入口のボードに、隣にいた留学生がくわたけいすけと書いた。憧れているらしい。それを見ていた係員は無表情だった。

入場し、石畳を歩いて館を目指すと、館は知らないがこの庭には2回くらい来たことがあるような気がしてきた。

館はこぢんまりした白い建物で、庭から階段を数段上がったところにあった。しかし玄関口まで水がひたひた迫っていて、その水が青く美しい。手が汚れないように手すりがついているんですよ!といやに誇らしげに係員が言った。日本語だった。

その白と青の美しさから、黒髪碧眼の綺麗な女の子が、あなたのための館みたいだと友人に言われて、クスクス笑った。自分の館にしたいのに、その女の子にとられた気がした。女の子は黒猫のぬいぐるみを館に飾って、誰かに向かってピースサインをした。

白い館を奪取する機会を伺っていたが、周りはショッピングモールの中になっていて、通路に店員が立っているから館にいけない。手持ち無沙汰にうろついていると、ポストに郵便が届いた。選んだ数字の4倍の金額の扇風機が贈られることになった。いらない。