夢日記2020/01/20

母の実家に連れていかれた。なんとなく山口県の山裾だった気がするが、実際とは全く違う土地であることは確か。
父と3人で近所を歩いていると、ある日本家屋の軒先にトロ箱一杯の饅頭が並べてあった。戸は閉まっていたが、中から賑やかな声がする。カスタード饅頭の店だと思った。夢の中では何かしら商品名がついていたが、忘れた。その家は土手の下にあり、土手との間に水路があるので、飛び降りて行くのは無理そうだった。遠回りして行くことにした。土手の上を走って電柱の立っているところで曲がろうとした時、急に眩しくなって目を瞑った。目を開けられない眩しさだった。「慣れない土地だから、見えづらいのだ」と思った。「これでは車に乗るのもひと苦労だな」とも。
母があの店を知っているのかと遠くから尋ねてきたので、大声で母校の講堂の裏にあるのだと答えた。祭りのときにはいつでも食べていたような気がした。実際には無い。
ようやく土手を降りて店の前に来ると、トロ箱はもうからになっていた。かわりに饅頭のタネ(?)でいっぱいになった箱を店のお婆さんが軒先に出していて、こちらを見て微笑んだ。
饅頭を買うことにして、父は3つ、母も3つ、自分は1つ分のチケットを買った。店主のお爺さんが作るのだった。ふかふかの1人用ホールチーズケーキみたいな大きめの饅頭を作るのは案外時間がかかって、1つ作るのにかなり待った。途中でチケットを持った老人が来たが、その様子を見て随分待つらしいと思ったようで、少し店内で立ち尽くした後に、店のお婆さんに会釈しながら外に出ていった。外で待つらしい。カスタード饅頭は旨かった。
饅頭を食べながら母の実家があるらしい山裾の、日本家屋がぽつぽつ立ち並んでいる中に入ろうとしたが、そこで母が何か言い出したので、引き返して車通りの多いところを散策することになった。
電気屋らしい2、3階建ての建物があった。その上に真っ赤な葉をつけた木が枝を張っていた。しかしそれは錯覚で、紅葉した木の赤色が雲に拡散して巨大な木のような真っ赤な雲が広がっているのだった。珍しいと母が感心していた。実際に可能なのかどうか。
電気屋の屋上に行く(移動場面はカットされたらしい)と、雲の下に漏れ出た青空がきらめいていた。足元は青く、頭上は赤かった。また眩しくなって、目をほとんど瞑って歩いた。屋上のほぼ全体にかかっているネットの下に入ると、自分が就活生だった気がした。スーツを着ているような気もした。ネット越しに母のような母でない誰かのようなヒトがあたまを撫でた。それで自分は猫だったような気がした。

夢日記2020/12/18

学校のような美術館のような、デザイン性に傾きすぎた建物の中を、制服を着て歩いている。夢の中では意識していなかったが、セーラー服だったかもしれない。実際に着たことはないからどうだか分からない。外は暗い。夜らしい。あるいは雨だったか。青緑色の街灯の下に立っている。石畳が光る。

事務所のようなところへ出向く。事務所のドア前の人混みを避けるため、脚立の上に上がって室内を覗く。ガラスの向こうから見覚えのある(と思った)髭の男が愛想よく手を振ってくれた。脚立を下りると、同年代であろう見知らぬ女の子がいる。何をしているのかと尋ねられ、ここに用があってと答えると、「美術部の審査ならここで待ちなさい」と言われた。ああ、これ、美術部なんだと呟きながら見回すと、それらしい女の子が4人ほどいるようである。自分もその審査に来たのかなと思った。

やがて事務所のドアが開けられ、私を含む何人かが招き入れられた。室内は暗かった。他の女の子たちは案内されるままに奥の机につき、私は最もドアに近い机についた。あの髭面の男性と、その仲間とに一番近い席だった。机上には試験用紙のようなものが何枚か束になって置かれ、すでに記入済みのようだった。促されて手に取り、中身を見ると、自分の字らしい。採点されているらしく、コメントがところどころに書き込まれている。試験はもう終わっていたのか。あるいはこれが試験なのか。制限時間までは机に座っていなければならないのだろうと思い、じっと採点済みの試験用紙を眺めた。間違いばかりが目につく。合計得点が明記されていない。他の人たちがどのくらいの得点なのかもわからない。誰も何も言わない。不安ばかりが募る。そのうち目が覚めた。

夢日記2020/12/16

実際近所にある小学校の、隣の道を歩いている。あとから何人か歩いてくる。皆学生らしい。歩く先には妙な集団がいて、道を塞いでいる。かと思いきや、他の人には彼らが見えないようで、すいすい通り過ぎていく。
妙な集団のうち2人が、私の今来た道をすかして眺めている。「上手くいったかな」「どうかな」といったことを話している。あとから来ている誰か男の子の頭上に、幸運の吹雪をかけたらしいと直感した。
彼らが見えると知れるとまずいことになるかもしれないと思い、無視して通り過ぎようとした。しかし、道端にマットレスが落ちているのを見かけ、歩くのに邪魔だろうと持ち上げて脇にどかしたが、すぐにこれは普通の人の目には見えないマットレスだと気づいた。
妙な集団は私が見えないはずのマットレスを動かしたので少しざわざわしている。さっきと違う2人組が私の前に立ちはだかる。見えないふりをして通り過ぎようとしたが、自分の意思に反して腕が1人の背中を叩くような動きをし、見えていることがバレた。

彼らは自分の魂(?)が入った事物を売って、自分を雇ってもらうという商売をしているらしかった。彼らから聞いたのではなく、夢から覚めてからそうなのではないかと思った。その事物はマットレスや幸運の吹雪や様々で、金銭で取引することもあれば、くれてやるようなこともあった。ただしそれらは皆目には見えないのだ。
私は2人組(1人は自動調理鍋になっていたが、話はできた)と共に車通りの多い道を渡って、ガソリンスタンドに入った。
自動調理鍋になった方が「この格好でどうすればいいんだ」といったことをぼやいた。私は「角煮なら作れるんじゃないか」と応えた。
この形状の鍋なら角煮以外も作れるんじゃないか?と考えているうちに目が覚めた。夢の中では自動調理鍋を知らなかったし、そもそも現実でも知らなかった。夢から覚めたあと「角煮作る機械」で検索して、夢の中で見たのと似たような形をしていたのでそれだと分かった。

夢日記2020/12/07 2部

祭りの広場に立っている。とんでもない人混みで、まともに立っていられるだけで奇跡のような状況。皆でシャボン玉を飛ばせと舞台の男が叫ぶが、人混みは騒ぐばかりである。
私は人混みから離れ、手に残っていた石鹸を泡立てて吹いた。こまかなシャボン玉が飛んでいった。人混みが静まり返り、どうしたのかと振り返ると、周囲はすっかり夏祭りの屋台で埋め尽くされていた。人混みはそちらに夢中になっていたのだ。
屋台の群れに入ってみると、シャボン玉で遊ぶ施設があった。ピンク色の壁で、中で遊ぶ子供の様子がよく見える。しかし人数制限ですでに入れなかった。シャワールームもあった。ウッドハウス風というのか、丸太を組んだ形で、中の様子はこれも外から丸見えである。2人ほど使っているようだった。自分は浴槽に浸かりたいと思い、隣にあった木の扉を押して中に入った。浴槽はあったが、すでに女の子がいて慌てて出た。
しばらくして、もう一度浴槽のある小部屋に入り、戸を閉めるために後ろを向くと、シャワールームにいる2人が高校の時の友人であることに気づいた。見つめていると、向こうもこちらに気づいた。
改めて浴槽に向かうと、すでに幼馴染がいた。口元まで沈めて、ブクブク泡を立てて遊んでいる。浴槽は2つ並んでいたので自分はもうひとつの方に浸かった。何か言葉を交わした気がする。

列車の先頭車両の、煙突のあたりに四人でしがみついている。自分と、先ほど浴槽にいた幼馴染と、この2年連絡していない後輩と、もう一人は誰だか分からない。線路は途中で分岐したり立体交差したり、複雑に運行している。四人でワーワー言いながら恐怖に震えているのは案外面白かったが、足元をもう一本の列車が走っているのを見下ろして、落ちたら死ぬなと思った。まさに幼馴染が落ちそうになり、その首を足を伸ばして支えた。苦しそうな声がしたが落ちるよりましだろうと返答した。結局、後輩が真っ先に列車から落ちた。怪我はしなかったらしく、線路の脇に佇んで後続の列車を待っているのが見えた。
列車は駅で止まった。ロンドンの駅のようなレンガ造りの駅である。駅員か誰かが麻雀のお代を払って回っている。自分たちもそれを受け取りに来たのだが、人混みに押されてもらい損ねた。金をまく駅員からはどんどん遠ざかり、むしろ2人組の賊に金を狙われたので後続の列車のもとへ逃げた。
後続の列車が止まったあたりでは「姫様へのお代です!」と威勢のいい声がしていた。ビニール袋に入ったうどんや鰹節やその他諸々がこれでもかと地面に置かれ、皆それぞれ袋を担いで列車の中に運び込んでいる。
私は鰹節の袋を担いで列車へ向かう列に並んだ。ちょうど高校の時の同級生が列の前にいた。彼はこちらを振り返って驚いた顔をした。
列車の中に入る。階段を上がっていくようだが、階段は小さな隙間の向こうにあり、皆それを潜り抜けていく。自分は隙間に身体がつっかえてしまった。それもそのはずで、隙間は鼠が通るくらいの小さなものである。しかし、自分の後にいた少女について行き、目をそらしてその穴を潜ると、スッと通れた。穴を通った先の階段も狭く、肩をちぢこめて上がっていった。

夢日記2020/12/07

女主人の従者として付き従っている。女主人はひどく不機嫌そうで、「私はあの肉を食いたかったのだ」と料理長らしい男に文句を言っている。「恐れながら陛下、狗が増えすぎたのです。狗肉を食わなければ土地が死んでしまいます。」と料理長が言う。
女主人は不機嫌なままで縁側に出、軒下に寝転がっていた虎の上に身を投げ出した。虎は白黒の毛皮で、ふかふかと柔らかそうな、しかし重さを持たない身体をしている。普通の虎の何倍もあるばかでかい体躯なので、邪魔にならぬよう軒下にいる。女主人専用の屋外用クッションのようなものだ。
そのうち女主人もいなくなり、従者たる自分1人きりになる。これを好機とかねてから触りたかった虎の毛皮に触れたり、何かしら話しかけたりする。
再び人が増えてきて、また従者の仕事に戻っていると、虎のそばに黒いセーターに黒いズボンの青年が現れる。青年は虎の額に手をあて、頷いている。何をしているのかと聞くと、「虎は人の心が分かるんだよ」と言い、「何かグロテスクなこと考えた?」と逆に尋ねられた。「ゾンビ映画」と答えると、「だから怯えてるんだ」と呟いて青年はどこかへ行ってしまった。

夢日記2020/11/22

同じ世界の様々なパターンを経験する。
基本的には階段を昇り、多くの人(ほとんど青年ばかり)が合流し、階段を昇りきると面の広い、低い段差がまだいくらか続いており、そこを歩いたり飛んだりして行き過ぎると、シアターのような人の集まる場所に出る。

変数は、階段を昇る前、昇っている間、シアターに入る直前、入ったあと。

階段を昇る前に、どこかの街の、電気の消えたネオンサインの下にいたり、大勢と一緒に硝子のドアの前にいたりする。その透明な壁の向こうには階段がある。自分は着替え一式を持っており、そばにいた人に下着を拾われ少々恥ずかしい思いをするなど。

昇っている間は、しばしば俯いている。上から青年たちが喋りながら降りてくる。階段の中途で、右手から青年たちがどやどや出てくることもある。昇る者と降りる者、昇る者の方が少し多かったか。階段は、最初は人が一対一ですれ違えるぎりぎりの狭さだったが、次第に大きくなり、10人くらい並べる広さにまでなった。

シアターに入る直前、だらだらした低い段差を少しずつ越えていくのだが、すたすた歩いて越えることもあれば、一段ずつ飛び乗って進むこともある。段差は徐々に大きくなり、そろそろ足が届かなくなるあたりで終わる。シアターの前には制服を着た少女が立っている。にっこり笑って出迎えてくれる。あるいは大好きだった先生が別の高校に行ってしまうと知り、「行かないで下さい」と恐ろしい形相で睨んでくる。しかし危害は加えないので安全。

シアターに入ると、人が集まって大きな画面を見ている。人は地面に座り込み、たまに何か食っている。人混みの一番後ろに行くと、家族連れのような一団の脇に、買い物カートが置いてある。中にはすでに完成したカップ焼きそばが置いてある。自分は謎を解きにきたのだと気づき、またこのカップ焼きそばが鍵になると知る。しかし大きな画面に映し出されているように、このカップ焼きそばに記された暗号は鼠によって書き換えられており、どうにかもとに戻さなくてはならない。
すると買い物カートに小さな鼠が上がってくる。ペットボトルのキャップにすっぽり収まるほどの小ささ。それでいて桃色の尾は長い。体長の何倍もある尾を左右に振って、鼠はカートの中を物色する。そのうちカップ焼きそばに気づき、中に尾を突っ込んで身を震わせる。食っているのか暗号を書き換えているのか。知らぬ間に自分もカップ焼きそばを持っている。これを鼠に食われてはたまらない。鼠との攻防。鼠にたやすく敗北する。鼠はとうとう背中に滑り込んできて、服の中で獲物を探して尾を振っている。

夢日記2020/10/19

友人を含めた3人で、エレベーターに乗ろうとしていた。エレベーターは荷物搬出にも使われるのか、妙に大きい。乗り込むと、右手の壁際に、ベビーカーに乗った赤子がいた。青白い肌で、静かに目を閉じており、真っ白なベビーカーと相まって死んでいるかのようだった。
突然、こんな迷信が脳裏をよぎった。白い赤子のいるエレベーターは、必ず事故を起こす。それは実際に聞いた話かもしれないし、夢の中だけの迷信だったかもしれない。ただ、この時にはそれが本当に起こると思い、私は友人を連れてエレベーターから降りた。エレベーターには他の人が数人乗り込んだ。
ゴー……と音を立てるエレベーターの扉をじっと見ていると、そろそろ1階に着くだろうというところで、急に大きな音がした。床が揺れた。やはり落ちた、と思った。友人が悲鳴を上げた。怖い怖いと泣き叫ぶ彼らの後ろから、見知らぬ若者が現れて、「怖いならこうするといい」と、地面にうつ伏せるよう言った。我々3人はそうした。
エレベーター横の階段から、高校生くらいの若者が2人上がってきた。「よく階段で来たな」と声をかけると、ちょっと得意げだった。我々が今いる場所は15階で、それはこの建物の最上階なのだと気づいた。彼ら2人はエレベーターホールを抜けて向こうのショッピングフロアに行ってしまった。
今度はどこから現れたのか見知らぬ男が1人、話しかけてきた。男は死神で、我々を地獄へ連れていくらしい。我々3人は彼に連れられて、ほんの数十歩で外に出た。空は暗く、窓から飛び降りた先の花壇にはキャベツの葉が落ちていた。
さっきの若者たちが追いかけてきた。「生きてる人も行けるんですか」と男に尋ねると、「生きている方は途中で魂を拾ってもらわんといけませんな」と答えた。魂を査定するらしかった。男についていくと、雑草が両脇にはびこる道を通った。最後に視界を全部隠すほど背の高い草むらを抜けると、ずらりと受付が並ぶ地獄の入り口があった。人は多かった。
私は1人で自分が並ぶべき窓口を探した。窓口の前に名簿と並ぶ順番があり、並んでいる人の列に時々空きがあることから、死ぬべきでありながらまだ来ていない人もいると知れた。それにしても自分の名前が見つからないのでまごまごしていると、誰かが「ここだよ」と教えてくれた。案外前の方だった。
受付が始まって、2、3番目くらいに自分のすぐ前の人の番になった。少年だった。受付の女性が少年の来歴や今後のことを話している間に、少年は彼女の亜麻色の髪に向けて、何か尖ったものを振り下ろそうとした。シャープペンシルではなかったかと思う。女性は間一髪で避けた。少年は注意されたが、特に罰を受けるでもなく、彼の番は終わった。
私の番が来た。受付の女性は手続きを済ませたあと、私に目薬をくれた。しかし中身はほとんど無く、液体は亜麻色で、何か固形物が沈殿していた。「これ使えるんですか」と聞くと「大丈夫、○○を忘れないで」と言われた。○○の部分については聞き返し、説明もしてもらったが、すっかり忘れた。
受付がおわると、白い長机が並ぶ場に移り、指定された席に座った。両隣も向かい側も、皆同い年くらいの女だった。机の上には誰かがうつ伏していて、その露出した太腿から血が流れていた。女かなと思った。向かい側の女も悩ましい顔をして、股から血を流していた。こちらの方が量が多かった。「ごめんね」と左隣の女性が声をかけてきた。「席、替わろうか」と言ってくれたが、特に困らないので大丈夫といったことを言った。机上の女はいつの間にかいなくなっていた。
左隣の女性のさらに左隣は、某国の大統領だった。頭から血を流している。何か書き物をしていたが、その紙は彼の血で半分以上汚れていた。彼のさらに左隣の誰かが「やめなよ」と言ったが、彼は「まだやらなければならないことが……」と言いながらなおも書き物をしている。彼の向かい側に座った男が、彼に何か言葉をかけ、彼がそれに答えた。そのやりとりは何度か続いた。私にはその会話は全て日本語として聞き取れたが、その男2人の会話は噛み合っていないようで、彼らには別の言語として聞こえていたのかもしれない。
小さな女の子がぽんと出てきて、「私は子供を残してきてしまったの、生まれ変わって子供を見守っていたいわ」と言った。彼女の話によると、彼女のお腹にいた子供は、彼女が死ぬ間際にお腹を飛び出して、別な女の腹に宿ったか、あるいは自然に帰ったらしい。「生まれ変わったら風になりたい」と彼女は言った。私の手には彼女にそっくりなフェルトの人形が握られていた。私はその人形を机の上に立たせてやった。「彼女は最初に転生するはずだ」と誰かが言った。
私の席のはす向かいに座っていた青年はミリタリー系が好きなたちだと言い、俺は生まれ変わるのは難しいだろうなと笑った。